●ミッドチルダ首都・クラナガン 11:23 p.m.

「それにしても……地下鉄拡張なんて、よく予算ありましたよね」
「まあ、首都の人口は年々増えてきてっかんな」


――Geschwind wie der Sturm.


「人が増えりゃあ行くとこも増える。費用に見合うだけの見返りがあんだろうよ」
「補助金なんかも出てるって話ですし」


――Stille wie der Wald.


「僕としては、廃棄都市区画の整備の方を、優先するべきだと思うんですけど」
「愚痴んなよぅ。こうやって穴掘って、俺たちゃおまんま喰わせてもらってんだぜ?」


――Greif an wie ein Feuer.



「それもそうなんですけどね……」
「そんなら四の五の言ってねえで、手ぇ動か――?」


――Bleib stur wie ein Berg.


「どうしました?」
「いや、なんかにぶつかって……何だこりゃ?」











――Ich bin Soldat.
――Ritter des Sankt Kaiser.














Alternative StrikerS
【再誕】





●聖王教会 12:13 p.m.

 そこは、地球に例えるなら、欧州に近い。
 渓谷の中にある巨大な建造物。それには長い石造りの橋が渡っており、今日も巡礼に現れる人々を、迎え入れていた。古のベルカを彷彿とさせる外観。中もまた同様に、旧暦の建造物の特徴を成している。
 そこの名は、聖王教会。遙か昔世界を統治した、聖王を崇め奉る、時空間でも大きな勢力を持つ宗教機関だった。
 そしてその中。一般人には立ち入れない、教会内部の更に奥。
 開けた部屋の中には、二人の姿があった。
 一人は、金の長い髪に、紫のリボン。もう一人は、短く切りそろえた、紅色の髪をした女性。
 どちらも黒を基調とした、修道女の姿。前者は窓際のテーブルに座り、後者はその傍に立っていた。
 紅の髪のシスターが、口を開く。

「紅茶は二人分でよろしかったのですか? 騎士カリム」
「ええ。ありがとう、シャッハ」

 カリムと呼ばれた女性が、微笑んで礼を述べた。
 聖王教会・教会騎士団所属の、カリム・グラシア。彼女はある特殊な技能を持ち、それが故、別機関である時空管理局からも、一目置かれている存在だ。しかし、本人自身からは、息の詰まるような威厳を感じさせない。
 優しげな目に、落ち着いた雰囲気。少し大人びた、普通の女性にも見える。
 シャッハ・ヌエラは、その秘書を務めており、同時にカリムの身辺護衛の役割も担っている。

「それでね。もう一つお願いなのだけれど、窓の鍵を開けてもらえないかしら」
「窓…ですか?」

 その程度なら、何も問題はないだろう。カリムの言葉に頷いて、シャッハはテーブルに隣した、窓の鍵を外した。
 一体何があるのか、とシャッハが思った直後、下から一本の魔力で出来た紐が飛んでくる。
 
「……! 騎士カリム、お下がり下さい!!」
「大丈夫。忘れたの、シャッハ?」

 何を、と聞き返す前に、魔力のワイヤーを伝って、一人の青年が部屋の中に侵入した。
 黒茶色の目と髪。へたれたパーカーに、すっかり色褪せてしまったジーンズ姿。
 腰には円形の魔導器と、そこから伸びた魔力のワイヤー。青年がぶら下げたそれのボタンを押すと、ワイヤーが瞬時に消滅した。
 一拍の間。待機状態から起動させた、回転剣型のアームドデバイス。ヴィンデルシャフトを下ろすと、シャッハは声を張り上げる。

「レクサ・L・ディアス!! 窓から入ってくるなと、何度言えば分かるんです!?」
「――いや、やっぱりここ来るときはこれじゃないと、落ち着かないといいますか……」

 カリムに事前連絡し、近衛の教会騎士にもまたかと呆れられ、今シャッハに怒鳴られているこの青年。
 レクサ・L・ディアス。所属は聖王教会だが、世界中を渡り歩く、遺跡調査員だ。
 昔からの付き合いで、このような行いをしても、お叱り一つで許される、二人といない人物である。 
 その証拠に、「久しぶりー」、「元気そうね」、とまだ興奮冷めやらぬシャッハを余所に、カリムと言葉遣いも気にせず会話をしている。

「それでレクサ。どうだった、今回の調査は?」
「んー、チョクチョク出るベルカのお墓だった。それより――」

 そこで区切ると、レクサは背負っていたリュックの中を物色。すぐに目当ての物を取りだして、カリムとシャッハ、二人に見せた。

「……なんですか、これは?」
「シャッハさん勘が鈍いなあ。魔除けの人形に決まってるじゃないですか」
「この禍々しいのが…魔除け……」
 
 ギラついた目つきに、野獣のような歯。二十センチ弱のそれは、明らかに除けるより呼び寄せそうな外見をした、木彫りの人形だった。底を見ると、「ジャベグラバ人形」と彫り込まれている。
 濁点が多い上に、とてもじゃないが、魔除けの人形が持つ名前ではない。

「また部屋に、変な物が増えたわね」
「全く……これだけ別の部屋に封印しておきたいですよ……」
「えー? 今回のお土産は手応えあったんですけど」

 はいはい、とシャッハは流すと、棚の上にその木彫り人形を置く。見るとそこには、異形としか言いようのない仮面やら、妙な形をした壺やら、物の前に「妙な」を付けなければならない、謎の空間ができあがっていた。
 混沌としたそれを、シャッハは意地でも視線から外すことにしている。そろそろ本気で隔離したいのだが、カリムがそれを拒むのだ。

「ほら。立ち話も何だから、座って? 向こうでのお話、聞かせてくれる?」

 促すカリムに、レクサは「ごめん」と一言。
 本来遺跡調査から帰ってくると、レクサはそこでの出来事を、カリムに順を追って話す。普段、滅多に外へ出られないカリムの代わりに、レクサが自分で見たこと聞いたことを、彼女に身振り手振りを交えて、聞かせているのだ。
 それを楽しみにして、用意されたもう一杯の紅茶。けれど、彼にはそれを、ゆっくり飲むだけの時間がなかった。

「実はクラナガンの方で、遺跡が出たらしくってさ。ユーノさんも急行するって言ってたから、俺もそっちに同行しようと思って」
「……昨日の今日で?」
「首都近郊に遺跡が出るのは、結構珍しいから。一度見ておきたいんだ」

 もう一度謝ると、レクサは入った窓から飛び降りる。途中でワイヤーを伸ばし、木に引っかけて衝撃を殺し着地。数年間やっているだけあって、全く淀みのない動作である。
 そして、すぐ傍に停めてあったオフロードバイクにまたがると、エンジンをかけた。

「本当にごめん! また帰ったら話すからさ!!」

 エンジン音に負けないよう、声を張り上げてそう言うと、レクサはアクセルを噴かし走り出す。
 決めたら曲げず、すぐ行動に移す。数年間の付き合いだが、それは変わらないな、とカリムは溜息をついた。
 それにしたって……

「もう少しぐらい、ゆっくりしていけばいいのに……」

 全くだと、隣のシャッハも、それには賛同した。



●ミッドチルダ首都・クラナガン近郊 01:27 p.m.

 ミッド首都近郊にある、地下鉄拡張のために掘られていた場所から、ある物が発見された。
 それは遺跡。
 外観が白の、石造りで出来た建築様式からして、旧暦に聖王が君臨していた時代と重なるそれ。何本もの柱が、緻密な計算を基に建物を支え、同時に建造物そのものの神聖さを醸し出している。
 その前には、一人の青年が立っていた。
 金茶色の長い髪を、後ろで一つにまとめ、翡翠の色をした瞳は、眼鏡を通して世界を見る。どこかしら線の細い印象を受けるその青年は、ジーンズに若草の色をしたトレーナーと、動きやすそうな格好をしていた。
 一見どこにでもいる学生のように見える彼。しかしその実、その正体は、この無限書庫の司書長を務める、ユーノ・スクライアだ。
 背後からのエンジン音に、待ち人の気配を感じ、彼は振り向いた。

「すいません、遅れました!」
「そんなに急がなくても、遺跡は逃げないよ、レクサ」
「歴史と建物は逃げなくても、そのときの感動は逃げますよ」
 
 レクサの言葉に、ユーノは苦笑。確かに、調査され尽くした後の遺跡には、発掘当初の、得も言われぬ輝きはないだろう。
 司書長と調査員がなぜ親しいのかと言えば、遺跡発掘つながりで出会った間柄。別世界の発掘の際に出会った二人は、妙に息が合い、そのおかげで、レクサはユーノに呼ばれているのだ。でなければ、特定の調査隊に所属しない、レクサに声などかからない。

「で、どうです?」
「うん。来る際にも言ったけど、恐らく聖王時代の墓。しかもかなり高い地位にいた人物の物だと思う」
「そんなものが…首都のすぐ近くに……」

 遺跡内に進みながら、ユーノは外観と内装から出た推測を、レクサに説明。レクサも自身の目で確かめ、同じ結論に至る。
 綺麗に残り“すぎて”いるのだ。第一発見者の話では、この遺跡の周囲には、結界のような物が張られていたらしい。それをふまえて、この墓が、相当な役職の人間に与えられた物なのだろうと想像できる。
 途中、駆け足ですれ違う調査員や、陸士姿の管理局員に挨拶を交わしながら、二人は更に奥に。
 そこでは今まさに、最奥の、最後の扉が開けられようとしているところだった。

「グッドタイミングですね、ユーノ司書長。もうすぐ開きますよ」
「お疲れ。手伝おうか?」
「いえいえ、私たちで十分です」

 調査員の一人であろう女性が笑って、周りのメンバーも頷く。
 そう言っている間にも、石造りの、五メートルほどはあろうかという扉が、ゆっくりと開きだした。
 ユーノの隣で、期待に胸をふくらませていたレクサ。しかし内部に向かう直前、扉に小さく彫り込まれていた、文字に気づく。
 
「ユーノさん。なんでしょう、あれ。……古代ベルカ文字?」
「ん? ああ、本当だ。ええっと……Ich bin Soldat. Ritter des Sankt Kaiser.」
「い、意味が分からない……」
「まあ僕も似たものだよ。けど、確か……【Ritter】は【騎士】。【Sankt Kaiser】は――」

 扉が、完全に開いた。

「――【聖王】」
「【聖王の騎士】ってことですかね?」
「他にも色々書かれているから、詳細は分からないけどね。けど、聖王騎士の墓なら、ここまで厳重に埋葬されているのも肯ける」

 考察の後、二人は今度こそ奥へ。
 そこには、石造りに金属の装飾という、奇妙な棺。そして、カプセルに入れられた、透明な結晶が鎮座していた。
 幾重の月日を、全く感じさせない内部の雰囲気に、ユーノとレクサは勿論、他の調査員たちも息をのむ。
 圧倒たる神聖。此方にして、異界とすら錯覚する、隔絶された世界。
 息をのみ、ユーノは結晶を見る。

「――レリック……?」
「知ってるんですか、あれ?」
「いや、友人が追ってる事件に関係する、ロストロギアに似てたんだけど、でもあれは……」

 結晶の形状は酷似しているが、レリックの色は深紅だったはずだ。
 今あるこれは、無色。カプセル内でゆっくりと回転する結晶が、光の関係か、その姿を七色に変していく。
 レクサはカプセルの傍に駆け寄ると、手袋を装着。カプセルに触れ――


――聖…ニ害…ス者……バ、我ガ…炎……イ、長……持…テ敵ヲ切……キ…ワン


 それは本能か。レクサは触れた指先をすぐさま離した。 
 頭の中に響く声。そして、強制的に見させられたイメージ。
 炎の中、赤い甲冑を身に纏い、手に何かを持って戦っていた、騎士の姿。 

「なんだ……今の……?」 
「どうかした? レク――」

 最後の一字を告げる前に、遺跡が突然大きく揺れた。
 次いで鳴り響く警戒音。ユーノは傍にあった柱を支えに立ち上がると、周囲を見渡す。
 遺跡の耐久度は存外いいようだ。少なくとも今すぐ崩落する恐れはないだろう。
 事態を把握しようと、ユーノが外で待機している調査員に連絡を取ろうとした時、向こうから通信が入った。モニターを開くと、外の映像と、慌てふためく調査員の姿が映し出される。

「何があったんですか!?」
『と、突然妙なメカが襲ってきて……! そちらに真っ直ぐ向かっています。気を付けて下さい!』
「ユーノさん、アレ!」

 レクサの言葉に、ユーノの視線は扉へ。そこから数体の、中を浮く物体が飛来した。咄嗟にユーノは近くにいた女性調査員を抱きかかえ、横っ跳びに回避。地面に身体をぶつけながら、相手の姿を見る。

――ガジェットドローン!?

 カプセル状のフォルム。正面には、金色のセンサーと思しきパーツが備わった、青い機体。 
 友人が、数年かけて追っている事件に、関係している物だ。それがなぜ、この遺跡にまで出没するのか。
 合同で調査をしていた、陸士部隊の魔導士が、デバイスを起動。ミッド式の魔法陣を展開し、ガジェットに向けて魔力弾を撃ち出す。
 だが、それは標的にあたる直前、霧散してしまった。
 事態に狼狽する局員に、ユーノが叫ぶ。

「AMFです! ベルカ式の騎士と、ミッド式で複膜弾が撃てる局員は前に。他はサポートを!」

 魔法の結合を強制分解する上位結界。AMF(Anti Magilink-Field)。ベルカの物理攻撃はまだ通るが、ミッドの魔力攻撃は完全に無効化される代物だ。
 ユーノの結界魔術も、ミッド式。それなりの出力ではあるから、数分程度の防御は可能。
 だが、所詮時間稼ぎ程度。ならば本当に窮地に立ったときこそ、使うのが正しい選択。そう判断し、戦闘地点から後方に下がる。
 弾幕と轟音をすり抜けて、レクサもその隣に。戦闘の余波でせり上がった床を、盾にして隠れた。
 
「何なんですか、あいつら!?」
「ガジェットドローン。ロストロギアに反応して回収する、自立式機械……。恐らくこの遺跡と、あの結晶に反応してやってきたんだろう」
「くそっ……こんな場所で!」

 ならば、とレクサは立ち上がると、再び結晶に向けて走り出した。ユーノの制止を振り切り、全力疾走。

――あれが、こいつらを集めてるのなら!

 結晶のみを持ち出し、ここから離れる。そうすれば、少なくとも遺跡の被害は減るし、外に出れば、局員たちも戦いやすくなるはず。
 そう考え、レクサは行く。目標地点の間では、今なお局員とガジェットとの戦闘中。そこでレクサはワイヤーを天井に射出し、振り子の原理で大きく飛んだ。
 そして結晶の入ったカプセルを手に取ると、出口に繋がる扉へとUターン。それに反応してか、ガジェットがレクサの方を向いた。
 一瞬の判断後、ガジェットが一斉に、レクサに向けて移動を始める。

「レクサ!」
「大丈夫です! ユーノさん隠れてて!」

 振り向きながらそう告げて、レクサは部屋を抜け出口へ。その後ろを、数体のガジェットが追走する。
 ここまでは、レクサの予想通り。だがしかし、遺跡の出口を抜けた直後、そこには唖然とする光景が広がっていた。
 調査員や局員は倒れ、健在なのはガジェットの軍勢。更に後方から追ってきた物も加わって、レクサは無機の敵意に囲まれた。
 門前の虎、後門の狼。つまりは、完全な挟み撃ちの状態である。
 立ち止まって、判断に零コンマ数秒。レクサは敵の壁が薄い部分に向け、ワイヤーを射出。当然AMFで無効化されるが、その一瞬のタイムラグを利用し、スライディングですり抜けた。
 それでも、ここは地下。遺跡とその周囲を掘り下げられた状態なので、逃げる範囲は限られてくる。
 手には結晶。武器はなし。装備はワイヤー。バリアジェケットなんて大それた物は、勿論無い。敵の数は今現在で十七体。状況は――

「ちょっと、不味いかな……」

 一つ目のようなセンサーから、一斉に光線が射出される。
 咄嗟にワイヤーを絶壁に撃ちだし、回避を試みるが、跳び上がる前に足下が爆ぜ、レクサは爆風に吹き飛ばされた。   
 身体を何度も打ちつけて、数メートル吹き飛ばされようやく止まる。手にしていた結晶はカプセルが割れ、その身を外界に晒していた。
 身体の痛みを必死に抑え、レクサは結晶を手に取る。

「奪わせ…ない……! こんな…こんな奴らに!!」

 渡せない。過去の英知を傷つけて、邪魔する人を傷つけて、無理矢理に全てを奪おうとする、こんな物たちに。
 許せない。誰かが必死に守ろうとしたこの場所を、滅茶苦茶にしようとする悪意を。
 だから――










――Greif an wie ein Feuer――










「なんだ……あれは……!?」

 遺跡から出たユーノは、信じられない物を見た。
 結晶が強い光を放ち、レクサの胸へ。それが溶けるように、体中へ入ってしまったのだ。
 レクサは立ち上がろうとした身体を、再び地面へ。壮絶な痛みなのか、声もあげずに身悶えする。
 しばらく動きを止めていたガジェットだが、レクサの体内から、ロストロギアの反応を感知。再び行動を開始する。

「が…あ…! このぉ……!!」

 今は、向かい来る敵を叩かなければならない。レクサは痛みを無視し、無理矢理立ち上がった。
 よく見ると、結晶が吸い込まれていった左胸は、パーカーが焼けて穴が開き、代わりに結晶と同じ模様の痕が残っている。
 後ずさり、レクサは構えをとった。戦闘術なら一通り、カリムの友人たちから教わっている。
 対するガジェットは対象の敵意を察知し、再び光線を撃った。
 爆音と共に炎が上がり、レクサはそれに巻き込まれ、炎を中に消える。

「レクサ!!」

 ユーノの叫びが、虚空に響いた。
 煌々と炎があたりを照らし、人を、物を、朱色に染め上げる。
 ガジェットはセンサー越しに、ロストロギアの反応を確認。己のスペックをわきまえているが故、彼らはこの程度で、ロストロギアが破壊されないことを知っている。そしてそれは予測通り、確かな反応を示していた。
 ガジェットたちに判断ミスがあるとすれば……ロストロギアを宿した人間、全くの無傷だったことだろう。

「――」

 炎上する世界を、ゆっくりと歩を進める者が一人。
 手と足には装甲。そして全身を、金ラインが入った、真紅の魔導着が覆っている。
 それが、目の前で揺らめく炎を払い、更に一歩前へ。大きく深呼吸をすると、戦うべく構えを取った。
 赤い騎士甲冑を纏った青年は、ユーノがよく知る人物。
 ――レクサ・L・ディアス、その者だった。

「……聖王…騎士……」

 炎の中、赤い甲冑を身に纏い、無機の軍勢と戦う、騎士の姿。
 聖なる王の御身を守る、紅蓮の騎士が大地を蹴った。

「――行くぞ!」







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